今回は自分がナイフを作る上で、そこに込めている想いなどを書いていきます。
そしてそれは私のブランド「Suzume Knives」のコンセプトでもあります。
私は反逆が好きだ
エーリッヒ・フロム著「反抗と自由」という書物があります。この本は私が大好きな本です。
この本で一番好きな部分を少し引用します。
「人間は、反抗の行為によって進化を続けてきた。 良心や信仰の名において権力者にあえて〈ノー〉と言った人びとがあったからこそ、人間の精神的発達がありえたのだが、そればかりでなく、人間の知的発達も、反抗の能力にかかっていた――新しい思想を抑圧しようとする当局者や、昔ながらの考え方を守り、変化をナンセンスときめつける権威者への反抗の能力に。」
反抗と自由:エーリッヒフロム著・佐野哲郎翻訳 紀伊国屋書店
私はこのように権威や権力に反抗する人が好きだ。ギリシャ神話で好きなのはもちろんプロメテウスだ。
歴史上の暴政に立ち上がった農民や、権力や支配の構造そのものを否定するために声を上げたアナキストが好きだ。
「少数の勇敢な者たちが、座り込み抗議、デモ、可決された法案に対する大規模な違反などによって法律や慣習を率先して破らなければ、解放運動の拡大はありえなかっただろう」「現在の法治主義が、かつてよりも寛容で、解放的であるというのであれば、私たちはその恩恵を過去の法律違反者たちに負っている」
実践 日々のアナキズム――世界に抗う土着の秩序の作り方 ジェームズ・C.スコット著 清水展・日下渉・中溝和弥 翻訳 岩波書店
今の私たちの人権や労働関連の権利があるのは、それを獲得するためにたくさんの人が立ち上がったからだ。そして権力の弾圧と戦い、勝ち取ってきたものだ。たくさんの血と涙と屍の上に今日の私たちの権利がある。
私は彼らのような生き方が好きだ。その勇気に心からの敬意を抱いている。
しかし好きだとは言っても、私もそのように行動できるかと言われたらまったく自信がない。
「義を見てせざるは勇無きなり」という言葉があるが、心に強烈に突き刺さってくる。
勇気を持つためには、どうしたらいいのだろうか・・・?
自分を鼓舞するもの
古来より日本刀には魂が宿るとされてきた。武士たちは自分の刀を眺めながら、「この刀に恥じない生き方をしているか?」を自分に問いかけていたという。
また刃物は、「邪気を払い、運を切り開く」ものとしてお守りとしても扱われてきた。
だから私は、そのような思いを込めてナイフを作りたいと思った。
困難や逆境に陥った時、勇気が必要な時、自分のそばにいて対話できるような存在として。
ともに人生を切り開いていく相棒のような存在として。
勇気が必要な時に、自分の背中をそっと押してくれるような存在として。
そんなナイフを作りたいと思った。
そしてそれは、なによりも今の自分自身が一番必要としてわいたから。
必要としている人がいるならば届けたい
そして自分だけでなく、他の必要としている人にも届けたいと思った。
今の時代、様々な事情や困難を抱えている人がたくさんいる。
勇気が出せなくて、人生に行き詰っている人もいるでしょう。
それらの人の中の一部の人は、私の考えに何かを見出すかもしれない。
そして必要としてくれるなら、私のナイフを届けたい。ちょっとの勇気を出すお手伝いをしたい。
私はそんな思いをもってナイフの製作を行っています。
まだまだ技術的には未熟ですが、志を持って日々活動しています。
もし賛同してくださる方がいるならば、応援してくださると幸いです。
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